取材

18頭ものヤギを飼う「やぎのいえ」竹川奈緒さんにインタビュー

2018年4月に鳥取県西伯郡伯耆町に移住し、「やぎのいえ」という屋号でヤギ牧場を営む竹川さん。
現在の活動や伯耆町での暮らしについて伺いました。

 

 

よろしくお願いします。
まずは簡単にプロフィールをお伺いできたらなと思います。

名前は竹川奈緒と言います。今24歳で東京の江戸川区出身です。二十歳の頃に静岡の動物園で飼育員をしていて、ヤギをやりたくなったので京都のヤギ牧場に転職をしました。そこからたまたま大山に知り合いがいて、大山っていいところだなと思い、大山でヤギ牧場を始めました。

今はヤギ牧場だけで生計を立てているんですか?

そうしていくつもりですが、今はまだその段階ではないため和牛繁殖のアルバイトをしていて、それが主な生活の費用です。繁殖農家さんでお手伝いをしています。

東京から伯耆町に移り住んで生活の変化であったり、不便だなと思うことってありますか?

東京の実家を出てから住んで居た静岡はとても観光地だったので、生活物資も割高でスーパーも隣町まで行かないところでした。ここの集落は車で10分くらいでスーパーもコンビニもあるので、社会人になってから住んでた地区としては一番住みやすいです。京都に住んでいた時も、結構な山奥のヤギ牧場で勉強をしていました。京都に住んでいたと言うと金閣寺とかを想像される方が多いんですけど(笑)

買い物10分圏内で行けるんですね。意外(笑)

車でブーンと降りれば10分で行けます。雪も去年から今年にかけては少なかったので、その辺に関しては大丈夫でした。村の人は異例と言ってますが。

鳥取に来て一年と少し経ちますが、暮らしの中でいいなあと思う点と大変な点ってあったりしますか?

他の集落がどうかはわかりませんが、この添谷に関しては元々住んでいた方々がウェルカムな感じで迎え入れてくれたのでよかったです。今住んでいる家も紹介してもらって、もともと壊す予定だった空き家をうまく借りれたので助かりました。

壊す予定だった空き家がこんな風に生まれ変わるんですね。

元々ここは和室で、床抜いたりDIY的なことも自分でやって、その許可も借りる上で好きにやっていいよということで大家さんから許可をいただきました。このような感じで自分の好きなようにさせてもらってるのでその点はとてもよかったなと思います。

自由に改装できるのいいですね。
ちなみにお家賃の方はおいくらですか?

家賃は15,000円です。

おー!
こんな広い家に15,000円で住めるんですね。

高いと言う人もいれば安いと言う人もいますが、私的には大変安い値段で住まわせてもらっています。

僕も安いと思います(笑)
1
日の流れはどんな感じですか?

現在の時間の使い方としては、朝6時に起床してご飯を食べ、ヤギのお世話をしてから7時半くらいに牛屋さんに向かいます。8時から昼まで仕事をして、一旦家に帰ってお昼ご飯を食べて、ヤギ達を見に行ってもう一度牛屋さんに行くんです。そこから5時半まで仕事をして、帰りにヤギたちのお世話をしてから家に帰って来ます。夜はフリータイムでヤギ以外の趣味に時間を使っています。

ヤギ以外の趣味のこととは?

物を作ったりとかも好きなので造形で粘土をいじったり、ゲームしたり、漫画を読んだり。

リビングがそのような感じの楽しそうな空間ですもんね。

自分の趣味、コレクションしかないので。



一日の中で基本的に動物と触れ合う時間がとても長いんですね。

まあそうですね。動物が好きなので。

ヤギのお世話って具体的にどんなことを?

餌やり、水換え、日によっては爪を切ったり、スキンシップの1つとしてブラッシングをやることもあります。これからの時期は寄生虫などが怖いので薬を塗ったり飲ませたりとか、そういう予防的なこともしますが、基本的には餌やりと水換えですね。

ヤギを飼いたくなったとおっしゃってましたが、なぜヤギを?

小学校中学校の頃から動物が好きで、爬虫類がその当時は一番好きでした。中学生の時から実家で飼っていて、将来は飼育員さんとかそういうのになりたいと思っていました。

高校卒業した後、動物の飼育の専門学校に入学をして色々勉強をしている時に飼育動物の中にヤギもいたんです。そこで少しヤギを好きになって、爬虫類関係に就職することが出来なかったら、観光牧場のようなヤギや羊がいるところに就職しようかなと思うほどにはヤギに魅かれてました。

結局は静岡の爬虫類や両生類を扱う動物園に就職が決まったんで一旦はちょっと熱が引いて爬虫類の方をやってたんですが、バックヤードにヤギがいたんです。たまたま(笑)

たまたま(笑)

お客さんには見せていないところにたまたまヤギがいて、そのお世話を任されてやっているうちに、やっぱり爬虫類もいいけどヤギもいいなと思っていました。

そしたら京都に居た専門学校の時の同期が、今1人空きが出たから一緒にやらないかと誘ってくれたんです。これを機にということで動物園をやめて牧場に勤め始めました。ヤギが要所要所で誘惑をしてきたんです。笑

運命的な出会いみたいな(笑)

だんだんヤギに引っ張られて笑

爬虫類も嫌いになったわけではないので、今もペットでトカゲを飼っています。

ヤギに引っ張られてっていうのはわかりましたが、なぜ自分でやろうと思ったんですか?

自分の会社を持ちたいという思いが高校生くらいからあって、当時は爬虫類が好きだったので爬虫類のショップとかブリーダーが自分でできたらいいなと漠然としたような形で考えていました。
社会人になって思ったのは、ブリーダーとかそういうのはやはり不安定な部分があったり、ペットショップも研修に行ったりしてたんですけど、ちょっと自分の思っている世界と違ったんです。

それで動物園に行きました。そこからヤギだったら自分で飼ってる子からミルクをとって、ミルクを商品として、出していけばその子らを売らなくてもいいかなと思って。

昔から自分でやりたいって思いがあったんですね。

アントレプレナーという街づくりや地域おこしみたいなこと勉強する授業が高校生の時にあって、それも少し興味があったので集落と関わり合いながら地域活性化のようなこともしていければいいなとは思っていました。そう言った意味では爬虫類よりヤギの方が親しみやすくて誰もが知っている動物なんじゃないかなと思ったんです。

確かに。
そしてヤギの生産物で売上を上げていくと。

そうですね。それに加えて触れ合いやイベントごとで命を感じてもらったりとか、単純に可愛さを見てもらってもいいですし、後々はお肉の魅力というのもどこかで発信できればいいかなと思っています。

話がちょっと戻りますが、移住してすぐの働き方といまの働き方って変化はありました?

去年はアルバイトを一日4時間、その他の時間は全部ヤギに費やしてました。ですが、金銭的にこのままでは危ないと思ったので、去年の12月から牛の方をフルタイムでやり始めました。ヤギを朝昼晩、休みの日は1日という風な形でヤギの方は少し時間が短くなってしまいましたが、徐々に売れる商品を作ったり、知名度が上がって行けばまたヤギの方にシフトして行こうと思っています。一年目は柵を作ったり、小屋とかそういうのを作ったりに時間を使いました。

一年ぶりに来たらえらい変わりようですもんね。

いまも村の人と協力して、立派な小屋を建設中です。丸太の皮を剥ぐところから自分でやっています。自分でやった方が壊れたときに直しやすいというか、配管とかこうしてたなってわかりますし。

言われてみればそうかも。
ちなみに移住する前とした後のギャップってありますか?良くも悪くも。

それほどギャップはなかったです。大変だろうなってことはそのまま大変なことは大変だし、村の人がいい人ばっかりだといっても反対する人もやっぱりいます。でも最初は半分も受け入れてもらえないと思っていたので、その点ではよかったかなと思います。

暮らしやすいですか?
急にざっくりな質問になってしまいましたが笑

(笑)
私自身は例えば、「ご飯一緒にどう?」とかそういうのはむしろ大好きなので、「行きますいきます。」って言って行く方なので大変楽しく暮らしています。この辺でいう「よばれる」っていうのが苦手な人は少し苦かもしれないです。多くの方からおいでおいでって声かけてもらえるので大変ありがたいです。

いいですね。
移住に踏み切れた理由ってありますか?

大山が一番魅力的で、美味しい水だったので、ヤギがその美味しい水を飲んで、そしたらヤギは美味しい水から美味しいお乳を出してくれるんじゃないかなと思ったんです。土地が良ければヤギの出してくれる乳だったりヤギ自身も美味しくなるんじゃないかなと思っています。大山には何回か京都から行ったり来たりしてたので知り合いというか顔なじみの人もいたので少し安心して移住できました。

理想の暮らし方でも働き方でもいいんですけど、今後のビジョンってどんな感じですか?

一番はヤギで生計が立てれればベストです。やぎのお乳を売ったりお肉を売ったりイベントヤギを連れて行って触れ合ってもらったりとかで売上を立てることを理想としています。とてもざっくり言うと、ヤギの魅力を触ったり食べたりしてくれたお客さんが感じてくれればいいなというところが1つコンセプトになっています。

牧場に来たり、私が行ったイベントに来てくれた人が魅力を感じてくれればいいなと思います。そこからヤギを飼ってみたいとかヤギのことをもっと知りたいなと思ってもらえたら一番大成功です。

応援しています!
最後に何か言い残したことなどあればお願いします。

今年ミルクを製品化しようと頑張っているので、製品化できれば買ってください!

 

竹川さんありがとうございました!

やぎのミルクを実際にいただきましたが思ったより飲みやすくてびっくりしました。3つのサイズに分けてボトリングして販売するようなので、決定したらこの記事に追記しますのでお見逃しなく!!

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やぎのいえ

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morisato

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もりさと(本名:森田悟史) 京都府生まれ、米子市出身。メディア内では主に取材・写真撮影・動画撮影を担当。基本的にアウトドア派で、人との交流を大切にしている。美味しいものが大好き。

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